COLUMN

金沢区から、発信する理由。

Photo by Seungmin Yoon on Unsplash

COLUMN vol.02 — 2026.05.01


横浜市金沢区、という場所を、ほとんどの人はご存じないと思います。

神奈川県民でも、「金沢文庫?」と聞き返してくることがあります。横浜市の中では南の端っこで、海があって、山があって、静かな住宅地が広がっています。新宿から1時間。渋谷から45分。それくらいの距離感の、ちょっとだけ遠い場所です。

ここで、映像制作をしています。


「なんでわざわざ金沢区から?」

フリーランスになってから、何度かこういう言い方をされたことがあります。「東京に出ないの?」「横浜の中心じゃないよね」。悪意はないのだと思います。ただ、不思議そうな顔をされます。

答えは簡単で、ここに住んでいるからです。妻と娘と3人で、この街で暮らしています。仕事場を移すより、暮らしている場所で仕事を作る方が、自分には合っている気がしています。

でも、それだけではない気もしています。


知られていない、ということの価値

金沢区には、知らない人が損をしているものがいくつかあります。

海が近いです。夕方になると、空の色が変わります。八景島のそばを歩いていると、なんでもない平日の夕暮れが、妙にきれいだったりします。地元の人にとっては「いつもの景色」で、わざわざ写真を撮ることもありません。でも、よそから来た人には「え、こんなとこあるの」と言われます。

映像をやっていて気づいたのは、そういう「知られていないけど本物」のものが、どこにでもあるということでした。地方の大きな観光地じゃなくても、SNSでバズっていなくても、そこに確かにあって、誰かにとっての「好きな場所」や「大切な時間」になっています。

それを映像にしたい、という気持ちが、ずっとあります。


「ローカル」は言い訳じゃない

「地域密着」とか「ローカル」という言葉は、少し使われすぎていて、なんだか言い訳っぽく聞こえることがあります。「東京に出られないから地元でやってます」みたいな、後ろ向きなニュアンスです。

自分はそうではないと思っています。少なくとも、そうではないつもりです。

アパレルをやっていたとき、店頭で一番楽しかったのは、「この服、あなたに似合いますよ」が当たったときではなくて、「この人が今、何を必要としているか」がわかった瞬間でした。それは、目の前にいる人の話をちゃんと聞いて、顔を見て、はじめてできることだと思います。

映像も同じだと思います。遠くの有名な場所より、近くの見落とされてきた場所の方が、自分には撮れるものがある気がします。知っているから、ちゃんと見えるものがあります。


このCOLUMNで書いていくこと

TINY PERKのCOLUMNは、金沢区のことだけを書く場所ではありません。でも、ここから見えているもの、ここで感じたこと、この街で出会った人や風景を、ちゃんと書いていきたいと思っています。

大きな話をしなくてもいい。バズらなくてもいい。ただ、読んだ人が「ああ、そういうことってあるよな」と思えるものを、少しずつ積み上げていけたらと思っています。

それが、金沢区から発信することの、自分なりの意味だと思っています。


金子浩之 / TINY PERK
横浜市金沢区を拠点に、映像制作者として活動しています。
アパレル業界15年→2023年フリーランスへ転身。妻と娘と3人暮らし。

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