COLUMN

アパレルから映像へ。「小さくてもやれる」と思った日のこと。

Photo by Sanket Mishra on Unsplash

COLUMN vol.01 — 2026.05.01

15年間、服を売っていました。

神奈川大学を卒業して、アパレル会社に入社しました。店頭に立ち、お客さんと話し、ブランドインフルエンサーとして発信し、店長まで経験させてもらいました。好きな仕事だったと思います。でも2023年に、退社しました。

辞めた理由をひと言で言うのは、なかなか難しいです。「映像をやりたかったから」というのも正解なのですが、それが全部というわけでもありません。

映像は、ずっとそこにあった

映像制作の学校に行ったことはありませんし、映画マニアというわけでもありません。

ただ、小さい頃から映像というものが身近にありました。なんとなく見て、なんとなく好きで、なんとなく「いつかやってみたい」と思い続けていました。本当に、それだけのことでした。

アパレルの仕事をしながら、ぼんやり考えていたことがあります。映像って、音楽も入るし、人も入るし、ファッションも入る。全部が合わさって、はじめて「映像」になります。写真一枚でも音楽一曲でもなくて、全部がそこにあります。そこが好きだな、と思っていました。

それに気づいたとき、「やりたい」という気持ちが、気づけば他の全部を追い越していました。向いているかどうかは、正直わかりませんでした。細かい作業が得意なわけでも、集中力が長いわけでもありません。実際、勉強を始めてから「あ、自分ってこういうのが苦手なんだ」と気づくことの連続でした。辞めた後になって、はじめてわかったことも多かったです。それでも、やりたいという気持ちだけは、ずっとぶれませんでした。

「フリーランス」という言葉の重さ

退社してすぐ、フリーランスとして活動を始めました。2023年11月のことです。

YouTubeを開けば、フリーランスを勧める動画がいくらでも出てきます。「時間の自由が手に入る」「いつ起きてもいい」「好きなときに働ける」。スクールの広告も、だいたいそんな感じです。

嘘だとは思いません。でも、少なくとも今の自分には、そんなに簡単に時間は自由になっていません。正直に言えば、これからもそう簡単にはならないのかもしれない、とも思っています。

それでも、フリーランスを選んだとき、ああいう動画に背中を押されたのは本当です。家族と一緒にいる時間を増やしたかった。妻と娘と、もっと同じ時間を過ごしたかった。それが、会社を辞めた理由の、たぶん一番正直なところだと思います。

最初は正直、怖かったです。「名刺に書く肩書きがない」というのが、思ったより堪えました。会社員のときは「〇〇〇〇の金子です」と言えば済みました。でもフリーランスになると、自分が何者かを自分で説明しなければなりません。

見積書の作り方も知りませんでした。請求書の書き方も一から調べました。確定申告なんて、想像もしていませんでした。

「なんでもっと調べてから辞めなかったんだろう」と思ったことは、一度や二度ではありません。

それでも「小さくてもやれる」と思えた理由

私は身長が高くありません。これ、実はTINY PERKの「Tiny」に込めた意味の一つでもあります。

笑い話みたいに聞こえるかもしれませんが、割と本気です。「大きくなれないなら、小さいままでやれることをやろう」という感覚は、ずっと自分の中にあります。

規模が小さいことと、価値が小さいことは、関係がないと思っています。

小さな仕事でも、そこに誰かの想いがあります。小さな地域でも、知られていない素晴らしいものがあります。小さな喜びでも、その人にとっては大きな意味があります。そう信じているので、「TINY PERK」という名前にしました。「Small」じゃなくて「Tiny」にしたのは、ちょっとかわいい響きが好きだったからというのも、正直なところです。

このサイトを作った理由

TINY PERKは、映像制作の仕事をするための場所でもありますが、それだけではありません。

自分みたいに、途中から何かを始めた人の「止まり木」になれたらいいなと思っています。行き詰まったとき、ふらっと寄って、「あ、こんな人もいるんだ」と思えるような場所です。

これからも、失敗したこと、気づいたこと、ここ金沢区で見つけたこと、映像を作るなかで学んだことを、このCOLUMNに書いていこうと思います。

SNSほど速くなくていい。でも既存のメディアよりは、もう少し正直に、リアルタイムに。

そういう場所を、ここに作っていけたらと思っています。


金子浩之 / TINY PERK
横浜市金沢区を拠点に、映像制作者として活動しています。
アパレル業界15年→2023年フリーランスへ転身。妻と娘と3人暮らし。

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